保険

「破損汚損」で生活のなかで起こる事故をカバーする

火災保険は火災以外にも台風や水災、盗難などさまざまな補償がありますが、その中に破損汚損という補償があります。旧来の各社共通商品である住宅総合保険などにはなかった補償ですが、各社の独自商品の火災保険にはこの補償を選んで付帯できるものが中心です。

最近は自然災害が増えているとはいえ、火災なども含めて自宅に住めなくなるような損害が発生することは頻繁に起きるものではありません。しかし、破損汚損は発生頻度が多いことが特徴です。

不測かつ突発的な事故(破損・汚損など)の補償内容

火災保険には不測かつ突発的な事故(破損・汚損など)に対する補償が含まれています。これは、事前に予測して防ぐことができず、突発的な事故によって建物や家財を破損・汚損させてしまった場合に保険金を受け取れるというものです。簡単にいえば、うっかり起こしてしまった偶然な事故で建物や家財を傷つけてしまったり壊してしまったりした場合に補償を受けることができます。

破損・汚損などの具体的事例

具体的にはどのようなときに補償を受けることができるのでしょうか。建物と家財に分けて事例を紹介します。

建物

  • 模様替え中に壁に家具をぶつけて穴をあけてしまった
  • よろけてガラス戸にぶつかり、ガラスを割ってしまった
  • 子供が室内でボール遊びをしていて窓ガラスを割ってしまった

家財

  • 掃除機をかけているときに机にぶつかり、デジカメを落として壊してしまった
  • よろけて食器棚にぶつかり食器を落として割ってしまった
  • 子供がおもちゃを投げてテレビの液晶が割れてしまった

破損汚損の補償で保険金が支払われる例

破損汚損の補償といってもイメージしにくい面もあるので、いくつか具体例でどのようなケースで補償されるのかをみておきましょう。

<保険金が支払われる主な例>
・子どもがプラズマテレビを倒して壊してしまった。
・外壁にスプレーやペンキでイタズラされた。
・掃除機を階段から落として壊してしまった。
・ペットの猫が高価な花瓶を割ってしまった。 など

破損汚損の保険金の支払い

一般的に物が壊れた場合の保険金の支払いは契約金額を上限に、修理可能なら修理、修理不能なら再購入費用になります。

現在の損害保険金の支払いは破損汚損に限らず一般的に次の式によって計算します。

損害額-免責金額(自己負担額)=損害保険金

いまの火災保険では、損害額は新価(再調達価額)を基準に算出しますが、そこから免責金額(自己負担額)が設定されている場合にはこれを差し引いて損害保険金を計算します。

免責金額の設定は損害保険会社によってパターンは違いますが、設定せずに免責金額をゼロにできることがあります。注意が必要なのは破損汚損の補償では、他の補償が共通して免責金額0円でも、破損汚損だけには多くのケースで免責設定がされている点です。

火災や自然災害なら、被害を受けた後に罹災証明を取ります。盗難であれば被害届です。漏水でも水が漏れて被害がでているのは調べればわかります。しかし、破損という単に物が破損した事故は、証明するものが曖昧です。

破損汚損の免責が1万円ついていて、損害額がこの範囲内であれば損害保険金は支払われません。火災保険にすべての補償に共通した免責金額が設定されている際でも、破損汚損は取扱いが違うことが多いので覚えておきましょう。

破損汚損の補償の注意点とポイント

火災保険の商品も各社同じような補償であるにもかかわらず、細かい規定は必ずしても統一されているわけではありません。

破損汚損の場合でもジュースをこぼしてパソコンを壊したというのが支払い事例に載っているものがある一方、ノートパソコンや携帯式通信機器(スマホやタブレットなど)やその付属品を対象外としているケースもあります。

壊れたら何でも補償されると思っていると当てが外れることがあります。
住宅の場合には保険の目的として主に建物や家財といいましたが、家財には一部例外があります。それが明記物件と呼ばれるものです。

明記物件とは、1個または1組の価額が30万円を超える貴金属、宝石、書画、骨董、彫刻物、その他の美術品などといいます。広義の意味ではこれらも家財ですが、いずれも金額の評価が難しいものです。保険会社によっては30万円超の金額を広げている場合もあります。

高額なプラズマテレビなどは家電製品なのでこの中には入りませんが、明記物件に該当するものがあるようならどこまで補償するのかよく検討するようにしてください。

破損汚損のリスクで、住まいが全壊になることは少ないかもしれません。代わりに物の破損や汚損が対象なので、発生頻度が多いのも特徴です。家族や住まいの周囲の状況なども考慮して設定を検討するといいでしょう。

補償を受けられないケース

不測かつ突発的な事故(破損・汚損など)で補償を受けられないケースについて紹介します。以下の場合は補償を受けられません。

経年劣化の場合

不測かつ突発的な事故を対象としているので経年劣化による損傷は補償を受けることができません。なお、経年劣化の場合は不測かつ突発的な事故に限らず火災保険の補償の対象とはなりません。

故意に破損・汚損させた場合

故意に破損・汚損させた場合は補償の対象にはなりません。例えば、イラっとしてモノにあたり、壊してしまった場合や夫婦げんかで手近にあるものを投げて壊してしまった場合には補償は受けられません。他にも、同じフローリングの傷でも、うっかりモノを落として傷つけてしまった場合は補償の対象ですが、傷つくことがわかっていて家具などを引きずったりモノを投げつけたりした場合は補償の対象外です。

すり傷などの外観だけの損傷

すり傷などの外観だけで機能に問題が生じていない場合には補償の対象外です。

スマホやメガネが壊れた場合

不測かつ突発的な事故であってもスマホやメガネが壊れた場合は補償の対象外です。スマホやメガネは壊れやすく、件数も多いため、各社免責項目に含まれています。

自宅外で壊した場合

自宅外での不測かつ突発的な事故で損傷した場合も補償を受けることができません。似た事例では、自転車を自宅の敷地内から盗まれた場合は火災保険の盗難補償で補償を受けられますが、駅の駐輪場など自宅敷地外で盗まれた場合は対象外というものがあります。

少額の損害の場合

免責金額以下の損傷の場合、補償を受けることができません。不測かつ突発的な事故に対する補償は、免責金額を0円にすることができない場合が多いです。

補償が必要かも考えよう

うっかり傷つけてしまったモノに対して保険を使うことができるのは何だか得したような気持ちになりますが、補償が手厚くなればなるほど保険料も高くなるものです。本当に必要なのか考えて、もし不要であるのならば補償から外せば保険料を安くすることができます。

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